ありがとうの箱

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再スタート

ついこの間のことのように、回想されます。

蒸し暑そうなピッチに、座り込むキングの姿を。
下がったベンチにて、嘆き崩れる長髪のストライカーを。
放心状態で立ち尽くす、元ブラジル国籍の熱い髭面を。

マスメディアはそれを「悲劇」と呼び、それ以降の各々の節目において引き合いに出しては、我々を鼓舞してきました。


人間というものは、皆一様に歳を重ねます。かつ、それと共に、経験や知識、またはそれに付随する結果の断続的な上昇を求めます。
かつての高度経済成長期のような右肩上がりの曲線を、いつの間にか己の中の基準としていることが多々見受けられます。


今回の宴に際しても、その働きは顕著でした。
皆が、どこかで16強入りを楽観視していました。


挫かれた想い。
認めたくない実力差が如実に顕れ、落胆に終始した3日間。
でも、信じ続けた3日間。

4年後、8年後、「これで良かったんだ」と必ず言うことになるだろうと、わたしは思います。
なにせ、試合当日は公共機関が休日になってしまうような国に対して、2-0で本気で勝とうとしていたこと自体が、美しいではないですか。


また、思い返すことになるでしょう。

黄色いタオルを顔に被せた、真っ赤の目の司令塔の姿を。
輝ききれなかった、満身創痍のファンタジスタを。
最後の最後まで仕掛けることを止めない、元ブラジル国籍の坊主頭を。


南アフリカの蒼穹の下、まだ芽吹いたばかりの新しい蒼い風が華々しく吹くことを願ってやみません。

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明け方の侵入者

すっかり、日が長くなってきましたね。

わたしは都内のとある事業所にて、日々勤務させていただいています。同事業所には、職員通用扉に暗証番号式のタッチパネル式の鍵が設けられ、外部からの侵入者をブロックするようになっています。
4桁の数字の後、あるボタンを押すと「」と音が鳴り、鍵が開くという仕組みのタッチパネルです。

ピ、ピ、ピ、ピ」(4桁!!)
番号が正しいと、「ピィー」という心地よい開錠の音色が鳴り響き、扉が開くというわけなんですね。

しかーし、
ピ、ピ、ピ、ピ」(4桁!!)
入力番号が間違っていると、「ピッピッピッピッ」という「残念でした、もう1度やり直しー」的な音色を奏で、扉は開きません。


先日、泊まり勤務がありました。
泊まりと言っても、24時間ずっと起きているわけではなく、仮眠はとれるんです。
普通に布団ひいて。
普通にメールなんかしちゃったりして。

しかし、どんなに深夜でも電話がかかってきたら、飛び起きて、適切な対応をしなくてはならないのです。

そんな状況ですから、寝心地はとても良いとは言えません。
満員電車内の、珈琲と煙草のヤニ臭さが混じりあった吐息クラスで、決して心地良いとは言えません。
寝床に入っていても、常に神経は頭上に置かれた電話機に集中しています。宿直をし始めたころは、おかしな具合に力が無駄に体に加わっていて、筋肉痛になったこともありました。

さて、先日も適度な緊張感を保ちつつ、午前1時前、寝床に入りました。1日中、チャリンコで街を駆けずり回っていたため、体は疲弊しきっています。
浅い睡眠をとる偽善者。
『うーむ、今日は電話もなく快適だなぁ。』
ウトウト。。。zzz



ピ、ピ、ピ、ピ」(4桁!!)

『ん? 誰だ、こんな夜中に。』
研ぎ澄まされた感覚は、どんな音にも反応してしまいます。

ピ、ピ、ピ、ピ」、 「ピッピッピッピッ
『しかも、番号入力、失敗しとるっ。まぁ、夜中だからな。仕方ない仕方ない。』
寝惚けながらも、納得する偽善者。
ウトウト。。。zzz


ピ、ピ、ピ、ピ」、 「ピッピッピッピッ

『また??』

ピピピピ・・(エンドレスリピート)

『失敗しずぎだろ。。
・・・ん??まてよ。職員であれば、こんなに何回も失敗するはずがない。
こいつは、不審者が侵入しようと、出鱈目に番号を連打しているのでは。。
・・ついに、来やがったか。』

寝惚けながらも、時計を確認する偽善者。
午前4時前。
あたりは、白々としてきていました。

『来るなら、来やがれ!』
寝惚けながらも、見えない敵に闘志を燃やす偽善者。

・・・。
どのくらいの時間、不審者に対して、メラメラしていたのか。
時間の感覚は乏しい。
その間も、エンドレスに鳴り響く、「ピ」の連鎖。

様々な想いが交錯する。
『おいらは、精一杯生きれたのだろうか。』
『今度のフットサルまでは、無事でいたかった。』



次第に感覚は、もやもやとした夢中から現実へ。


ピ、ピ、ピ、ピ、  ピピピピ

ピ、ピ、ピ、ピ、  ピピピピ



平和の象徴である小鳥のさえずりさえも、
ときとしてHorrorに成りうるという、至極どうでもよいお話。
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